
姫路女学院高校女子ソフトボール顧問の暴力により、顎が外れるけがを負った女子生徒が「急性ストレス反応」と「うつ状態」を発症していることがわかりました。
女子生徒は、9月24日、大会でユニフォームを忘れたことで男性顧問に顔を叩かれ顎が外れたまま、その後5時間も顧問の側に立たされ罵声を浴びせられていました。このことで女子生徒は全治1ヶ月の怪我を負いました。
女子生徒が語る当時の様子

「先生に近づいても練習をしようとしても怒られて、何をしていいか分かりませんでした。グラウンドにも入れてもらえませんでした。その時は許してもらうために、謝り続けるしか方法が見つかりませんでした」
引用元:Yahooニュース!
チームには女性コーチもいましたが、「あきらめずに声をかけ続けるしかない。」と言われたようです。
「それまでもたたかれたり、他の子との対応に差があったりしていました。その日にたたかれたことで吹っ切れました。ああ、この人とこのチームで続けても、自分がしたいソフトボールはできないと思いました。その日のうちに、翌日の大会に出場した後、退部することを決めました」
引用元:Yahooニュース!
女子生徒は翌日の大会の後に退部を申し出ようと決意していました。
翌日も顧問は女子生徒の尻を蹴ったり、頭を叩いたり、暴言を吐いたりしたといいます。
その後、女子生徒はショックが大きく学校にも通えない状態が続きました。
「戻ってもまた同じようなことになると思いました。コーチとも話はしていて、味方になってくれるって言っていたけどもう信用もできませんでした」
引用元:Yahooニュース!
女性コーチにも相談していたようですが、特に具体的に動いてくれることはなかったようで、助けてもらえないと
気がついたようです。女性コーチも男性顧問にはなにも言えないチーム環境だったのでしょう。

驚きの記者会見

姫路女学院高校の学校法人「摺河(するが)学園」の摺河祐彦(まさひこ)理事長らが、10月3日に謝罪会見を開きましたが、驚いたことに事前に女子生徒にも母親にも知らされていなかったようです。
また、会見の内容は女子生徒に寄り添う内容ではなく、顧問の暴力をかばい、問題を矮小化するようなものでした。
会見で学校側は、過去にも女子生徒が忘れ物があったと体罰の言い訳をしましたが、女子生徒の話によると、「一回だけユニフォームの色を間違えた」ということです。その会見を見た女子生徒はさらにショックを受け、学校に戻りたくないと思ったと話しています。
その会見後、女子生徒は体調の不調を感じ始めたと言います。
「先生のことを思い出すと、体調が悪くなるようになりました。母が運転する車の助手席から、先生が毎朝あいさつしていた校門や授業をしていたパソコン室、部活の練習があったグラウンドを見ただけで、いろいろ思い出して気分が悪くなってしまいました。担任の先生とコーチが自宅に来てくれた日にも、今までにない痛みをおなかに感じ、病院に行きました」
引用元:Yahooニュース!
学校に近づくだけで顧問のことや当時のことを思い出して気分が悪くなり、体調にも影響し学校に行けなくなったようですね。
さらに驚いたのは、女子生徒が暴行を受けてそのことが発覚してから、学校とのやりとりがほとんどなかったということです。
学校の対応
暴力問題の発覚後に記者会見を開いたが、事前に女子生徒にも母親にも知らされていませんでした。
また、記者会見の内容も事実と違ったことが言われていて、女子生徒は不信感を持ちました。
さらには、問題発覚後、ほとんど学校とのやりとりがなかったことから、さらに不信感をつのらせたようです。
本来あるべき対応とは
まずは、けがをした女子生徒のケアが最優先されるべきだと思います。
学校は記者会見を開く前に、女子生徒とご家族に心からの謝罪とする必要があったでしょう。
また女子生徒の心身の状態に注意を払い、必要なら専門家も入れてケアとサポートをしっかりとしていくべきであったのに、それを怠り、問題を早く矮小化し学校の風評を守ために動いていたという印象は否めません。
女子生徒の現在
10月下旬、女子生徒は病院で「急性ストレス反応」「うつ状態」と診断されたということです。
学校に行けているのか詳細はわかりませんが、上記の状況からは行けていない可能性が高いでしょう。
「ただあの日、私が忘れ物さえしなければ、こんなことにならなかったのではと考えてしまいます。すごく大切な大会だったので、なんで忘れてしまったのかなって思います」
引用元:Yahooニュース!
【追記】女子生徒は、学校に通えなくなり10月末に退学届を出しています。
母親の言葉
女子生徒の母親はNHKのインタビューで次のように語っています。
暴行を受けた当日、娘は私たち両親には相談せず、1人で悩んでいたようだが、泣いて、目も腫れていた状態だった。翌日、試合に行かなくてよいと言ったが、本人は『ばん回したい。チームにも迷惑をかけられない』と言って試合に向かった
引用元:NHK
大事な大会で忘れ物をしたことを娘はいまだに反省しているが、親としては行き過ぎた体罰だと思うし、許せない気持ちだ
引用元:NHK
部屋の奥にしまっていたグローブを手にしている娘の姿を見て、やっぱりソフトボールが好きだったんだなと思った。部活のメンバーと一緒に卒業すると思って高校生活をスタートしたがこのような形で退学することになり娘もつらいだろうし親としても悔しい
引用元:NHK
見ず知らずの人に(SNSなどで)心ないことを書かれて娘は傷ついていた
引用元:NHK
暴行を受けた当日は、泣きはらした娘さんの顔を見て「翌日は行かなくてもいいよ」と声をかけたようです。娘さんは「みんなに迷惑はかけられない、挽回したい」といって翌日の大会にでかけました。
しかし、そこで待っていたのは、男性顧問による暴力でした。
心が折れて学校へ行けなくなってしまい、大好きだったソフトボールを仲間とできなくなってしまった女子生徒に対し、ネットでは心ない誹謗中傷もあったようです。
そんな娘を見守る母親の心情は察するにあまりあります。
まとめ
女子生徒は、男性顧問に暴力を振るわれ、顎が外れた状態で5時間罵声を浴びせられるだけで、心身ともにかなりのダメージを受けたと思われます。その上翌日もまた暴力を受けています。
女性コーチもいましたが、助けてはもらえませんでした。
学校は発覚後記者会見を開きましたが、そのことを女子生徒もご家族も知らされておらず、また会見の内容は女子生徒に寄り添う内容ではなく、「女子生徒が過去にも忘れ物があった」と虚偽を述べ、男性顧問を守るような内容でした。
今回、女子生徒は「急性ストレス反応」「うつ状態」と診断されましたが、これは、学校が教育者として生徒に、そして問題に真摯に向かい合わず、保身のために間違った対応をとったためではないでしょうか。
さらには、ネットでの心ない誹謗中傷。
女子生徒の傷は、学校による二次被害、三次被害を受けてより深くなっていったようです。
今後、男性顧問と学校側が十分な対応とサポートをし、女子生徒が1日も早く穏やかで充実した日々を送れるように切に願います。
